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CAST

　魔女

　黒猫

　フラン

　ミイラ

　オオカミ

 

 

魔女　　ねぇ、フランケン？

フラン　魔女様？そんな無粋な呼び方しないで。

　　　　私の事は『フラン』とお呼びください？

魔女　　え？フランケンなんだからフランケンで……

フラン　フ・ラ・ン、です

魔女　　あっ……はい。分かった……分かったから、その手離してくれる？ちょっと痛い……かな？

フラン　あら、すみません！！つい力んじゃいました～

魔女　　ふぅ……で、今日は何の用かしら？

フラン　よく聞いてくれました！！今日はまた良い素材が手に入ったんですよ～！！

　　　　見てください、この綺麗なブルーの瞳。まるで宝石みたい……今の私の顔にピッタリだと思わないですか？

魔女　　……殺してないわよね？

フラン　まさか～！！『私は』そんなことしないですよ～

　　　　たまたま…この素敵な瞳の子が、刺されて殺されちゃう、不幸な事件が起こったので、

　　　　せっかくなら私が使ってあげよう～と思って……頂いてきただけですよ？

魔女　　で、その素敵な瞳の子を刺した犯人は、どうなったの？

フラン　美味しく頂きました！！

魔女　　やっぱり殺してるじゃない！！

フラン　本人は殺してないんですから、良いじゃないですか？

　　　　それに、とっても幸せそうでしたよ？犯人さん

魔女　　あっ……そう。詳しくは聞かないでおくわ

フラン　ありがとうございます

黒猫　　こ～ら、フランケン。あまり派手に動いてると、またエクソシストに追われるわよ？

魔女　　あら、お師匠さま。もう起きたの？

黒猫　　あなた達が騒いでるから目が覚めたのよ。

フラン　黒猫様。お言葉ですが、もうあんなヘマはしませんよ。

黒猫　　本当かしら？そう言ってこないだも頭ごと交換したじゃない？

フラン　あれは!!……お気に入りの身体を刺されそうになったから

　　　　反射的に払いのけたら、つい力が入っちゃって……

魔女　　それで、大の大人を５メートルも吹き飛ばしちゃったと……あの時は大変だったわねぇ～

　　　　熊が出たとか、イエティだったとか大騒ぎだったじゃない！

フラン　失礼しちゃいますよね～あんな毛むくじゃらの獣と一緒にするなんて

黒猫　　フランケンの怪力で吹き飛ばされたんじゃ、何が起ったか理解できなかったんじゃない？

　　　　おかげで助かったわけだけど。

魔女　　大体なんで刺されそうになったのよ？

フラン　あれは私も被害者なんですよ？いきなり泥棒猫とか私の恋人を返して!!

　　　　とか言われて、なんのことやら……

黒猫　　日頃の行いが悪いからよ

フラン　酷くないですか？私は別に盗ったりしませんよ。

　　　　向こうが勝手に私の事を好きになるんです。

魔女　　いつも私が作った媚薬入りの香水をつけておいて、どの口が言うのかしら？

フラン　仕方ないじゃないですか～先立つものは必要ですから？

　　　　お金のある殿方と仲良くなるには必要な事なんです

黒猫　　そんなことしてるからトラブルに巻き込まれるのよ

魔女　　で、今日はどうするの？また、頭ごと交換するの？

フラン　いいえ、今日はこちらの身体でお願いします。

魔女　　こちらって……子供の身体じゃない！？まさか……

フラン　違いますよ！！私じゃないですからね!!

　　　　……この子は、今住んでいるアパートの近所の子なんです。

　　　　近所なのもあって、お母さん含めてすごく仲良くしてくれてたんです。

　　　　……でも、こないだ、事故で亡くなってしまって……この子のお母さん、すごく落ち込んでしまって。

　　　　だから、ハロウィンの夜ぐらい、奇跡が起きてもいいかな？って思ったんです。

　　　　少しの時間かもしれないけど……お別れぐらい、言わせてあげたいなって……

魔女　　………はぁ～

フラン　ダメ……ですか？

魔女　　しょうがないわねぇ～やってあげるわよ!!

フラン　本当ですか!!ありがとうございます

黒猫　　そういうわけだから、入口で立ち聞きしてる男ども、早く入ってきなさい!!

ミイラ　は、はい！！

狼　　　やっぱりバレてたか～～

フラン　えぇ！？ミイラさんに、狼さん！？聞いていたんですか？

ミイラ　えっと……ごめん。立ち聞きするつもりはなかったんだけど……

狼　　　たまたま聞こえちまってさぁ……なぁ？

黒猫　　事情を聞いたなら、あなた達も手伝いなさい？ミイラはこの子と同じぐらいの子供の死体を集めてきて。

　　　　いくつか使えないパーツがあるから、それで補う

ミイラ　了解！！

黒猫　　狼は今から言う素材を集めてきて。今回は全身の交換だから、いつもより必要なものが多いの。

　　　　時間がないから急いでね

狼　　　任せろ!!

黒猫　　魔女は手術の準備。全身の交換にはいつもとは違う薬が必要になる。

　　　　まずはそのレシピを教えるから、片っ端から作るわよ

魔女　　お手柔らかにお願いしますねぇ～お師匠様

フラン　あっ、あの……私は何をすれば

黒猫　　貴女は、この子のお母さんの元に戻りなさい。そして、貴女ができることしてあげなさい。

フラン　……はい。

黒猫　　さぁ、グズグズしている暇はないわよ!!みんな、仕事にとりかかりなさい！！

 

フラン　後日、ある街で亡くなったはずの子供がハロウィンの夜に、

　　　　お別れを言いに蘇ったという『ハロウィンの奇跡』が人間達の間で噂になりましたが、

　　　　その噂もいつの間にか忘れられてしまいました。